デジタル化支援digital

新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加え、労働人口の減少に伴う人手不足や賃金上昇など、中小企業を取り巻く環境は不透明な状況がつづいています。
 
このようななか、デジタル技術を活用することで皆さんの負担が減り、新たな時間を事業活動や経営に充てることにより生産性の向上や販路の拡大などウィズコロナ時代のビジネスへのチャンスが広がります。
 
川口商工会議所では、会員事業所の皆さんがIT化を進めていく上で、さまざまな段階で生じる課題に対しての伴走型による解決やIT人材の育成等の支援を実施していきます。また、川口市をはじめとする公的支援機関や民間事業者と連携し、地域一体となった支援体制を確立しながら本市産業振興への貢献とデジタル分野においても「信頼される地元の支援機関」を目指します。

身の丈ITシリーズ

これから毎月、さまざまな業種業態で取り組みが進んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)の様子をご紹介いたします。

中小企業診断士・ITコーディネータ 長戸 美樹

 

シリーズ② 花屋、物販小売業のDX

日常生活を便利に楽しくすごすために、私たちの生活に欠かせない小売店。そこではどんなDX活用が進んでいるのでしょうか?
 

(1)花屋の体験

私はこれまで、地元の商店街のお花屋さんで1週間に2回くらい、季節にあった切り花を数本ずつ購入していました。そのお店は現金しか使えず、お財布を忘れてしまった日は購入できません。会員カードもありませんが、店主がお客様の顔を覚えていることで毎回話は弾みます。今年の3月は「今日は孫の小学校卒業式だったからサービスするわ」と言って、お花をオマケしてくれました!
 
かたや、私の母はショッピングモールにあるチェーン店でお花を買っており、支払い方法はいわゆる「サブスク(注1)」、スマホから会員登録をします。クレジットカード自動引き落としとなっており、毎回の支払いは不要です。あらかじめ決められたお花の中から一輪だけ選び、スマートフォンのアプリ画面を見せるだけなので、お店での会話はありません。
 
注1:サブスクとはサブスクリプションの略。定額料金を支払い利用する仕組み。サービス業ではインターネットの動画配信、小売業ではバッグや洋服の一定期間レンタルなどがある。
そんな中、少し離れた場所に若夫婦が小さな花屋を開業しました。QRコード決済のPayPayが使え、お店のレジ横には名刺サイズのショップカードが置かれており「定休日や営業時間がわかる」「ショップカードのQRコードからお店のInstagramにアクセスできる」ようになっています。最近、犬の散歩の途中でスマホしか持っていない時にその花屋さんの前を通ると、ついつい買うようになりました。またInstagramを使って「今日のおすすめの花」を紹介しており、見るたびにお店の存在を思い出します。
 
申し訳ないのですが、私は昔ながらの花屋で買うことが少しずつ減っています、開業した若夫婦を応援したいですし、スマホ決済が簡単にできるため、ちょっと不便な場所にあってもついつい寄ってしまうのです。
 

(2)3つの花屋のDX取り組み比較

この3つの花屋は、まさに同じ業態の小売業でも、「デジタルの活用」いう意味では違いがあります。開業した店は、ほとんど経費を掛けずにDX活用していることが分かります。
老舗の店 開業した店 大手チェーン店
決済方法 現金のみ QRコード決済 月額自動引き落とし
レジ ガチャレジ(注2) タブレットレジ 高機能レジ
会員管理 なし Instagramフォロー スマホアプリ
WEBサイト なし SNSのみ 本格的なサイトあり
注2:ガチャレジとはインターネットに接続していない昔ながらのレジ
 

(3)まずは来店してもらう、そのためのきっかけ

今、巣篭り需要でECサイトやデリバリーの売上が増えています。そんな中で、お客様に来店していただくにはどうしたらよいのでしょうか。
 
まずは「来店するためのきっかけづくり」にDX活用をすすめてみませんか? 手書きのハガキをお店からもらうと大変嬉しいですが、切手代やはがき代の経費がかかり、さらにあて名書きをする従業員の負担も重いです。そこで、「一般のお客様向けには、無料で活用できるInstagramやFacebookなどの活用」「上得意客には手書きのお手紙を送る」という2段階方式に切り替えることができます。
 

(4)次は、気軽に決済してもらう

やはり消費者の動きにあわせたキャッシュレス対応も欠かせません。「QRコードを店頭においてお客様のスマホで読み取ってもらう」「補助金を使って安価にレジの入替を実施する」など決済業務のDX化を簡単にスタートできる時代です。店頭に「QRコード決済使えます」というポスターやのぼりを出して、お客様にアピールしましょう。
お釣り用の両替にかなりの費用がかかることからも、キャッシュレスへの切り替えを進めることをおススメします。
 

(5)さいごに

小売業の基本は「欲しいものが揃っている」ことです。川口在住の近隣客のニーズを知り尽くしているみなさまであれば、この点はしっかりできていることでしょう。
そのうえで「自店を忘れないでもらう・思い出してもらう」「購入までのお客様の負担を減らす」というステップでは、簡単で安価なDX活用がお役に立ちます。 小売店のDX導入、ぜひ川口商工会議所にお気軽にご相談ください!
 

シリーズ① 美容院やネイルサロン、サービス業のDX活用

美容院・ネイルサロン・マッサージ等の店舗を構えたサービス業の特徴としては、(1)お客様と一対一で施術をする、(2)お客様名簿を作成して固定客獲得を狙うことがあげられます。つまり、施術の技術力や設備はもちろんのこと、顧客を掴んで離さないことが必要です。
 
そこでこれらのお店ではどのようにDXを活用しているかをご紹介します。私は普段、地元で個人経営の美容院やネイルサロンに通っており、そのお店は店主・従業員合わせて数名で切り盛りしています。今回ご紹介するのは、それらのお店で私が実際に体験しているサービスです。
 

(1)スタンプサービスの自動化

紙のスタンプカードにハンコを押す仕組み、ハンコがどんどん溜まっていくと楽しいですよね。でも「カードを忘れた、失くした」場合はゼロからやり直しになってしまいます。そこで、お客様が持ち歩いているスマートフォンの中にスタンプ機能を持たせる仕組みがあります
   
画像1:LINEショップカード(LINE for Businessのサイトより引用)
 
たとえばLINEショップカード(画像1)です。LINEを使っているお客様が、自分のスマートフォンで店頭のQRコードを読み取るだけで、簡単にポイントがたまります。自社で仕組みを用意する必要はありません。LINEショップカードは、LINE公式アカウントの無料プランでも利用できるので、お試しで始めて見てもよいですね。
   

(2)予約受付の自動化

施術中に予約電話がかかってきても受けられず、貴重なお客様を取り逃がしてしまう…そんな思いはしたくありませんよね。またお客様は自宅で夜、お風呂上りにゆっくりスマホから予約したい・・・そんなニーズを持っています。
 
そこで活躍するのが、インターネット上の予約サイトの利用、また予約受付機能を持つレジの利用などの方法です。 予約サイトの利用では「ホットペッパービューティー」等が有名です。自社でWEBサイトを持たない中小サービス店では、自社サイト代わりにも利用できます。
   
パワーナレッジPOS(株式会社Groonyのサイトより引用)
 
また予約受付機能を持つレジとしては、パワーナレッジPOSなどがあります。
レジとしては高機能ですが、IT導入補助金を利用して安価に購入することも可能です。
 
これらを利用する際は、無料の場合もありますし、費用が掛かる場合もあります。費用対効果、手間の削減、顧客満足度の向上等の様々な視点から、「うちでも導入できるかな?」と研究してみてください。お客様が数名増えれば、月額利用料が回収できて、粗利益率の向上につながる可能性もあるのです!
 
最後に、直接お客様の体に触れるサービス業に従事する皆さん、感染対策に気を使って大変な毎日をお過ごしと思います。ですが、DXのチカラを使って、少しでも楽に業務をこなせるようにご一緒に考えていきませんか?ぜひ川口商工会議所にお気軽にご相談ください!